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基町高層アパートは、戦後の住宅不足や河川敷に形成されたバラック群への対応を背景に、大高正人らによって計画された大規模集合住宅です。屋上庭園やピロティ、人工地盤などを備え、住戸だけでなく、都市の中に立体的な生活空間をつくり出そうとしたこの建築は、完成から半世紀近くを経た現在も、多くの人々の暮らしの場であり続けています。その一方で、住民構成や暮らし方、周辺の都市環境は大きく変化してきました。
同じ基町地区では中層住宅の廃止が進む中、高層アパートはこれからどのようにのこしていくことができるのでしょうか。建築そのものを保存すること、そこで営まれてきた暮らしや文化を受け継ぐこと、そして、現在暮らす人々にとってよりよい環境へと変えていくこと。それらを同時に成立させる「のこし方」は、どのようなものなのでしょうか。
本展示では、基町高層アパートの上部と下部に新たな通路や床を付加し、それらを足掛かりとして住戸や共用空間を段階的に更新していく建築提案を、模型や資料を通して紹介します。すべてをあらかじめ完成させるのではなく、住み手がそれぞれの暮らしに応じて空間に手を加えていける余地をつくることで、静かな住環境と都市の賑わい、多様な暮らしが共存する可能性を考えます。
この建築をのこすこととは、完成したその姿をそのまま保存し続けることだけではなく、社会や暮らし、周辺環境の変化を受け入れながら、その価値を現代に合わせて更新していくことでもあるのではないでしょうか。何をのこし、何を変え、これからどのような場所として受け渡していくのか。本展示が、基町に暮らす人々とこの場所を訪れる人々が、それぞれの立場から基町のこれからを考えていくきっかけになればと思います。
髙木一冴
東京大学大学院 工学系研究科
建築学専攻 修士課程

会期:2026.9/10(木)-9/13(日)
会場:Unité(Google Map)
OPEN:12:00-17:00(最終日15:00まで)
主催:基町プロジェクト
企画:髙木一冴、基町プロジェクト