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2025年度活動報告

2026/6/14 05:18

基町プロジェクト実施報告書2025年度.pdf


2025年度の基町プロジェクトでは、「基町から広島の復興と創造を発信する」というテーマのもと、基町住宅地区を舞台に、地域の歴史を学び、新しい魅力をつくり、地域の内外をつなぐ活動に取り組みました。

今年度は、拠点利用者・来場者・イベント参加者を合わせて4,276名の方に関わっていただきました。M98、基町資料室、Unité、make、旧大橋商店などの拠点を活用しながら、展示、ワークショップ、見学会、地域行事への協力、研究・教育連携など、さまざまな活動を実施しました。

被爆80周年記念事業

被爆80周年を迎えた2025年度は、基町の戦後復興の歩みと、現在の暮らしをあらためて見つめ直す取り組みを行いました。

「世界とつながる基町」では、基町小学校と連携し、児童たちが自分たちの暮らすまちを写真で記録しました。テーマは「平和な暮らし」「まちの今」「日常」です。子どもたちが撮影した写真や学校紹介、平和学習に関するカードを箱に収め、韓国、ネパール、ベトナム、ドイツ、ルワンダの小学校などへ送りました。届いた先からも、それぞれの国や地域の日常を伝える写真や手紙が返ってきました。

遠くの国の子どもたちと、互いの「今」を見せ合うこの活動は、平和を大きな言葉としてだけではなく、日々の暮らしやまちの風景から考える機会となりました。

また、「基町写真展2025」では、基町住宅地区を離れ、ひろしまスタジアムパーク PARK STUDIO2で展示を行いました。基町の生活や都市の変化を記録した写真、基町小学校でのワークショップから生まれた児童の写真、巨大なカメラ・オブスクラなどを展示し、記録を見るだけでなく、光や風景を体験する展示として構成しました。

会場には、基町をよく知る方だけでなく、スタジアム周辺を訪れた親子連れや、広島の戦後復興に関心を持つ方々も来場しました。展示を通じて、基町が「通り過ぎる場所」ではなく、広島の復興と暮らしの記憶を重ねてきた場所であることを伝える機会となりました。

基町を学ぶ、伝える

基町資料室では、基町住宅地区の歴史、建築、地域の暮らしに関する資料を常設展示しています。2025年度は、来訪者の増加や関心の高まりに対応するため、年表や解説文を中心に展示内容を拡充し、展示台も新たに整備しました。

基町資料室には、地域にゆかりのある方、建築や都市に関心を持つ方、研究者、学生、海外からの視察者など、多様な来場者が訪れました。写真や模型、記録資料を通じて、戦後の広島で基町がどのように変化してきたのかを知る入口となっています。

また、基町に関する写真資料のデジタルアーカイブも継続しました。地域の方々から提供いただいた写真を整理し、聞き取り内容とともに記録することで、まちの記憶を次の世代へつなぐ準備を進めています。

復興都市・基町をめぐる見学と交流

2025年度も、基町住宅地区の成り立ちや建築的特徴を学ぶため、多くの見学や研究協力を受け入れました。

広島大学とメリーランド大学によるデザインシャレットでは、学生たちが基町を訪れ、地区の歴史や現在の課題を学びながら、旧大橋商店や屋上空間の活用などについて提案を行いました。JICAナイジェリア国別研修、日本建築学会による建物調査、ひろしまたてものがたりフェスタでの見学会なども実施し、基町の復興住宅としての価値や、現在も続く暮らしの姿を多くの方に紹介しました。

12月には、DOCOMOMO USの視察に対応しました。基町住宅地区のショッピングセンターや屋上庭園を見学した後、屋上でプレート贈呈式が行われました。その後、基町資料室で模型解説や居室映像の上映を行い、基町地区の成り立ちと、基町プロジェクトの取り組みを紹介しました。当日は、基町住宅地区の設計に携わった藤本昌也氏も来訪され、基町の建築的・歴史的な価値をあらためて確認する機会となりました。

若者の表現と創造の場づくり

Unité、make、モトマチ・アートウィンドウでは、若い作家や学生による展示、作品制作、文化芸術活動を継続して行いました。写真、絵画、インスタレーション、映像、AIを用いた表現など、さまざまな活動が展開されました。

これらの拠点は、作品を発表するだけの場所ではありません。基町で制作し、地域の人の目に触れ、会話が生まれることで、若者の表現と地域の日常が少しずつ交差する場になっています。

また、MINTO機構の助成による都市再生デザイン研究として、「基町空間空想会議」を実施しました。地域の方々と一緒に、「あったらいいかも」と思う場所や使い方を描いたり、ミニチュアで組み立てたりしながら、基町のこれからの空間活用について考えました。

地域とつながる活動

旧大橋商店では、ひまわり体操やコーヒークラブなど、地域の方々が気軽に集まる活動を行いました。体を動かす、話す、お茶を飲むといった日常的な活動を通じて、地域の中にゆるやかな交流の場をつくっています。

また、盆踊りやぐら制作、原爆死没者慰霊基町盆踊り大会、敬老会、町民体育祭、防災見学会、こいこい祭り、基町防災フェスタなど、地域行事にも継続して関わりました。基町プロジェクトは、作品や展示だけでなく、地域の行事や日常を支える活動にも取り組んでいます。

これからに向けて

2025年度の活動では、被爆80周年を契機に、基町の戦後復興の記憶を国内外へ発信するとともに、現在の暮らしや地域のつながりを見つめる取り組みを進めました。

基町住宅地区は、広島の復興を考えるうえで重要な場所であると同時に、今も多くの人が暮らす生活の場です。基町プロジェクトでは、これからも地域の方々、学生、研究者、来訪者とともに、基町の記憶を学び、新しい魅力をつくり、内外へつないでいく活動を続けていきます。

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